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山形県東根市本丸東

震災前取材

 

この自然石でできた地蔵は、「歯がため地蔵」ともいい、地元の人たちを中心に信仰を集めている。

むかし、この町の造り酒屋に夕方になると一人の男が現れ「酒かす食わせろ」と言って食べていった。毎日来るので、酒屋の主人が不審に思い、ある日後ろを追って正体を突き止めようと、この四辻に来ると煙のように消えてしまった。

ある晩、主人の枕元に男が現れて、「私は酒が大好きだが、死んでからは誰も飲ませてくれない。だから、せめて酒かすでもと思って毎日行った」と語った。

酒屋の主人は、不憫に思って、早速四辻に自然石の地蔵を立て、酒をささげてねんごろに弔ってやった。それ以来、男は姿を見せなくなったという。

この地蔵は、虫歯に霊験あらたかになったのは、酒屋の主人の虫歯が痛み出し、冷やしても薬を飲んでも良くならないので、地蔵にお参りした。このとき、あまりの痛さに地蔵についていた「こけ」をとって虫歯にあてたところ、けろりと治ってしまったと云う。