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山形県東根市観音寺

2017/08/22取材

 

龍泉寺所蔵の「マリア観音」は、幼子を抱いた観音像で、子安観音として信仰されてきたものである。

この観音像については、次のような伝説が伝えられている。

この地は、仙台へ抜ける関山街道が通っており、その途中には関所があった。昔、この寺に、酒田の湊から来たという一人の男が、一夜の宿を求め立ち寄った。男は笈に観音像を持っており、関山街道を越えて仙台へ向かうという。しかし、観音像を持ったままでは、関所を抜けるのに疑われる恐れがあるということで、自分が戻ってくるまで預かってもらいたいと、観音像を住職に託した。次の日、男は旅立ったが、そのまま二度と戻ってくることはなかった。

住職はこの観音像を秘仏として寺の床下に隠していたが、明治に入りキリシタン禁制が解かれた頃、新たに光背をこしらえて安置し、今に至っている。

昭和3年(1928)、調査の結果、隠れ切支丹の遺物である生母マリア像であることがわかった。それ以降は「マリア観音」と呼ばれている。

高さは40cm、台座からの高さは75cmあり、金箔がおしてある。全体の感じは母性愛にあふれ、なんともいえない優しさが感じられる。昭和44年(1969)、市の文化財に指定された。