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山形県白鷹町高玉

震災前取材

 

白鷹町には、伝説を伝える桜の古木が多くあるが、この桜もその内の一つである。

薬師堂の境内にあるこの桜は、エドヒガンザクラで、推定樹齢1200年、樹高約10m、根周り約8.7mで、樹勢には衰えも見えるか、よじれながら起伏し、瘤のある巨大な幹回りは貫禄がある。

この桜は、次のような坂上田村麻呂にまつわる伝説を伝える。

征夷大将軍の坂上田村麻呂は、奥州征伐のためこの地にあったが、長く続く戦いに人の世の哀れを感じ、近くの沼のほとりで夜な夜な笛を吹いていた。ある夜、その笛の音に引き寄せられるように、美しい娘が現れた。田村麻呂とこの娘はたちまち恋に落ち、やがて娘は田村麻呂の子を宿した。

しかし、この娘は沼の主の大蛇であった。月が満ち、娘は黄金の太刀を産んだ。黄金の太刀に巻きついた大蛇を見た田村麻呂は、その太刀で大蛇を切り殺してしまった。

後に、その大蛇が娘であったことを知った田村麻呂は嘆き悲しみ、娘の供養のためにこの桜を手植えしたという。