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山形県大蔵村赤松

震災前取材

 

いつの時代か、一人の修験者が葉山へ参詣の途中この地にさしかかったところ、大きな杉の木に、権現様の姿が現れたのを見た。修験者は、その神々しさに深く心を打たれ、この地で長く修行したと伝えられる。村人たちは、これ以降この杉を権現杉と呼び神木として祀るようになった。

江戸時代、この杉の内の一本を伐ったところ、切り口から血のような真っ赤な樹液が流れ出た。これを見た樵の頭は畏れかしこみ、神仏に祈り、ようやく倒すことが出来た。この大杉を筏に組み川を下って酒田の港に運ぶことになり、途中は何事もなく港に着けることが出来た。しかし、船頭がほっとする間もなく、にわかに大風が巻き起こり、筏を上流へ上流へと押し戻し、たちまち見えなくなってしまった。その後懸命に捜したが、杉はとうとう見つけることができなかったと云う。この不思議な話を聞いた村人たちは驚き、残された杉に対し、一層の信仰を深めるようになったと伝える。

現在の杉も、昭和46年(1971)頃、道路改修で伐られる計画が起こったが、住民の根強い願いもあり伐られずに残された。

幹周り約7m、高さ約27mあり、また隣の絵葉の大木も幹周り10mを越す堂々たるものである。