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福島県白河市八幡小路

震災前取材

  • 白河ハリストス正教会
この地の聖堂は、大正3年(1914)7月に着工され、翌4年5月に竣工したもので、ハリスト教会として現存するものでは、全国で5番目に古い洋風建築である。

聖所を中心として、西に啓蒙所兼玄関、その上階は鐘塔、東に至聖所を配し、全体は十字型の平面となっている。屋根は切妻造や八陵屋根、中央の聖所には緩勾配の方形屋根を二段にかけ、中央部白塗りのドラムの上に緑色の丸天井を重ねている。費用は、白河の信徒を中心に集められ、当時の金額4千円で建設された。平成5年(1993)に福島県指定重要文化財に指定されている。

ハリストス正教は、文久元年(1861)、ロシア人のニコライが函館に渡来し伝えた。ニコライは、明治5年(1872)上京、東京の築地で布教を開始した。また、この白河での布教でも大きな役割を果たした、日本で始めての司祭の沢辺琢磨は坂本竜馬のいとこにあたる。函館で布教を始めたニコライの殺害を企てていたが、その教えに感銘して洗礼を受け、熱心な信者となった。

明治9年(1876)、武石定伝教者が白河を訪れ宣教が始まり、「発酵会」が発足した。明治11年(1878)には、沢辺琢磨司祭により7名が受洗した。しかし、当時は異国の邪教との見方も多くあり、信徒の永眠者埋葬について裁判になり有罪判決を受けたり、白河の総鎮守鹿島神社例祭に際し、祭費の寄付に応じなかった信徒に対し暴力が振るわれる事件もあった。