福島県浪江町大堀字清水

 

この共同墓地に、推定樹齢500年と云う栗の古木があり、今も秋になると実をつけるが、その栗の実はどれをとっても、歯形がついていると云う。

むかし、この里に親孝行で働き者の「あき」という10歳の女の子がいた。しかし重い病にかかり床に伏せるようになり、死の間際にあきは、栗を食べたいと言い出した。しかし木枯らしが吹く季節で栗の実などはどこにもなく、それでも両親は娘の最期の願いをかなえたいと山中を探し回った。

しかし栗の実を見つけることはできず、両親は途方に暮れ、愛宕地蔵尊に手を合わせるしかなかった。するとどこからともなく一匹のリスがあらわれ、一粒の栗を差し出した。

両親はその栗を大事に持ち帰り、早速娘に食べさせようと口元に栗の実を当てると、娘も嬉しそうにそれを噛んだが、そのまま命を引き取ってしまった。両親は泣く泣く娘の棺にその栗を入れて埋葬した。

やがて、棺の中の栗は芽を出し、墓から栗の木が生え出し、たくさんの実をつけるようになった。しかし不思議なことに、その栗の実にはどれにも一つずつ歯形がついていると云う。またこの栗の苗木を他の土地に植えても歯形のある栗の実はならないと云う。

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