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福島県いわき市久之浜田之網字横内

 

波立(はったち)海岸沿いにある波立薬師は、大同元年(806)徳一大師の開基と云われている。本尊とする薬師如来は、海中より出現したものと伝えられる。

安産、厄除、無病息災はもとより、特に海に所縁が深いところから、海上鎮めの守護として、海上安全、大漁祈願の信仰も多い。

仁王門、庫裏、その他の建物は、文明年間(15世紀)磐城氏の寄進によって造営された。その後、江戸期には、平城主代々の祈願所と定められ、内藤氏によって大修理が行われた。

この薬師には次のような伝説が伝えられている。

 

・採ってはいけない海岸の砂利

波立海岸一帯は海底から押し上げられたきれいな砂利で埋まっている。波立寺を詣でる者の中にはときおりこの砂利を持ち帰る者がいたが、その砂利は、いつの間にかこの海岸に帰ってくるのだった。

浪江の者が、あるときこの砂利を庭に敷き詰めようと、荷馬車で庭に運んだが、突然重たい眼病にかかった。占い師に見てもらったところ、「薬師の浜の砂利の祟りである」と告げられた。このため、あわてて元に返したところ眼病はたちまち治ったという。