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福島県いわき市平薄磯字小塚

 

この薄磯海岸は福島県内屈指の海水浴場で、ゆるやかな曲線を描く砂浜は、塩屋崎灯台と合わせ海岸美を形成している。この地の眺めは、美空ひばりの後半を代表する名曲「髪のみだれに手をやれば……」で始まる「みだれ髪」のモチーフになったもので、海岸にはひばりの記念碑が建っている。

平成を迎えるまでの5年間、ひばりには度重なる肉親との別れがあった。そして、悲しみの中で自身も体調をくずし入院した。そんなひばりを勇気づけようと、日本コロムビアの森啓が新曲を企画した。

曲作りに当たっては、作詞は星野哲郎、作曲は船村徹がコンビを組んだ。星野がひばりの曲を作詞するのは20数年ぶりとあって、その意気込みは大きいものだった。星野は詩のイメージを探し、昭和62年(1987)この地を訪れた。

夕暮れに波打ち際を歩いていると、暗さを増す海に、塩屋崎灯台の一筋の光が投げかけられる。人気のない海岸線の崖の上に灯台が毅然として立っている。その風景にひばりの姿が重なり、星野は「ひばりは海に向かって男を待ち続ける悲しい女、会えぬ人に思いを込め“ひとりぼっちにしないでおくれ”と哀願している…」そんな情景が次々に星野の中で組み立てられた。

歌詞が出来たところに、船村が曲をつけたが、ひばりの過去の曲の音域よりも半音階高いものとし、これまではあまり使われなかった高音の裏声を使い、復帰後に「自分はまだまだ歌える」という自信を持てるように配慮したと云う。