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福島県いわき市小名浜住吉字住吉

 

このいわき市小名浜は、古くは海湾だった。その湾内にあった小さな岩山は、この海を航海するものにとっては目印として大切な存在だった。やがてこの岩山は神格化され、その麓に社が祀られるようになった。

第十二代景行天皇の時代、この地を時の大臣の建内宿禰(たけのうちのすくね)が、勅命を奉じて東北地方を巡察の途中訪れた。この時、この地が陸と海との重要な位置にあり、東北の関門にもあたることから、航海安全と国家鎮護を祈願し、東北総鎮守として祀るようになった。

その後、第七十代後冷泉天皇の時代の康平7年(1064)、朝廷が勅使を遣わし、東国平定を祈願し、また源頼義は源氏の宝刀「鵜の丸の剣」を献じて武運を祈念したと云う。

代々朝野の崇敬が厚く、鎌倉幕府は数千貫の社領を寄進し、豊臣秀吉には七十石の神領が認められ、徳川時代には二十石の朱印地を所有していた。

また江戸中期に、平藩の領主であった内藤家にお家騒動が続き、その原因が平城を睨んで建つこの住吉社にあるとされ、社殿の向きが変えられ、その時に内藤家より幅5間、長さ200間の参道が寄進されたと伝えられる。

現在もこの地随一の古社として崇敬を集めている。