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福島県いわき市常磐湯本町字三函

 

現在残る三函(みはこ)座の建物は、明治30年代(1897~1907)に芝居小屋として建設されたもので、木造二階建てで、築後百年が経過している。屋根は正面が切妻造り、背面が寄棟造りで、鉄板葺き、二階には袖見席がある。

日露戦争時には、出征軍人を送る祝賀会にも使用されたりもし、明治39年(1906)に描かれた湯本絵図には、この三函座も描かれている。興行が始まる時間になると太鼓が打ち鳴らされ、その情景は、この路地沿いに一時住んだ野口雨情の詩にもうたわれている。

明治末から映画も上映され、戦後は主に大映や松竹の邦画を扱っていた。その時代その時代の生活を反映させながら、湯本温泉唯一の娯楽施設として大衆文化を伝えてきた。

昭和40年代(1965~75)からテレビの普及や生活様式の変化によって映画文化は衰え、昭和51年(1976)の常磐炭鉱の全面閉山もあって、昭和57年(1983)、惜しまれながら閉館した。