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福島県南相馬市原町区泉字町池

 

この松は、1本の木で二葉と一葉が交じっている珍しいクロマツで、「学術上貴重である」として昭和30年(1955)に県の天然記念物に指定された。

推定樹齢は約400年で、高さ約9m、根回り約3m、太さ約2.7m。大正時代までは2本あったが、1本は枯死し、現在は1本だけとなった。

昔この地には泉長者という者が住んでいた。この長者は、酒の湧く泉を見つけ、これを売って財を成したという。この長者の暮らしは贅沢をきわめ、使用人を多く抱え、その屋敷は大変に豪壮なものだった。

源義経一行が、奥州下向の 際にこの地を通ったとき、義経はこの莫大な富を持つ長者の存在が、後々の災いのもとになるのではと考え、弁慶を遣わし長者の屋敷に火を放ったと云う。弁慶は、燃えさかる豪壮な屋敷を、この地の松に腰掛けて悠々と眺めていたと伝えられる。

この松のある泉地区には、奈良~平安時代の古代陸奥国行方郡の役所跡とされる泉官衙遺跡がある。この松の伝説は、この地の荘園をめぐる、奥州藤原氏との争いに起因するものとも考えられる。