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秋田県北秋田市坊沢字下上野

2016/04/05取材

 

この遺跡は、米代川北岸に位置し、延喜15年(915)頃の十和田火山の大噴火による土石流で埋没した、平安時代の集落跡である。これまでに4棟の建物と、それらを囲む柵列が発見されている。

集落が建物で囲まれていることや、「寺」あるいは「守」と読める墨書土器が出土していることから、官衙や寺院ではないかと考えられている。

この米代川流域は、十和田火山の大噴火による土石流や噴火降下物により、各地で自然のダムを造り、周囲を水浸しにし、そして決壊し各地で大洪水を起こした。まさにこの被害を受けた地区に八郎太郎の伝説が残っており、それらのモチーフは十和田火山の噴火被害と考えられる。

この遺跡は、9世紀に起きた「元慶の乱」以降、文献記録が少ない東北地方北部の歴史を知る上で極めて重要な遺跡であるとし、ここでの出土品は、平成21年(2009)国の重要文化財に指定されている。