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秋田県羽後町

震災前取材

 

羽後町の県道57号線のわきに、「小豆研石」と呼ばれる石があり、時折赤飯などが供えられ、痘瘡の神様と敬われてきた石がある。一時この石は地中に埋没していたが、近年の道路整備工事で掘り出され、現在は囲いが設置され大事に保存されている。

この石には、次のような伝説が伝えられる。

昔、襷をかけた若い女が、夜な夜な鼻歌を歌いながら、さも快ちよさそうに、小豆を研ぐように小石を研いでいたという。村人たちは、これは狐か狸の仕業だろうと噂しあい、気味悪く思う者も多かった。

これを聞いたある武士が、「一打ちに成敗してくれよう」と石の脇で待ち伏せ、あらわれた女めがけて刀を抜き、一刀のもとに切り下ろした。

しかし刀は二つに折れはじきかえされ、武士は気絶してしまった。しばらくしてから気が付いて見ると、大石に刀の傷跡があり、それからは若い女も現れず、唄も聞かれなくなったという。