岩手県久慈市小久慈町

2012/11/05取材

「くんのこ(薫陸香)」とは、この地方で琥珀を意味し、慶長19年(1614)、大阪の陣の際に、南部利直が徳川家康の本陣にこの地の琥珀を「香」として持参しており、主に「香」の材料だったものと思われる。「ほっぱ」とは「堀場」で採掘場をあらわす言葉なのだろう。久慈地方では古くから琥珀が採掘され、江戸時代には南部藩の重要な財源として管理された。

この八木沢の「くんのこほっぱ」は、琥珀博物館の敷地内にあり、かつての坑道が一般に公開されているもの。この地には天保14年(1843)頃、長崎から来た琥珀細工師の夫婦がこの地に寄宿し、琥珀を掘り、細工を行なっていたと伝えられる。