岩手県九戸郡洋野町種市

2016/09/27取材

種市海岸には、北の荒海が造りあげた奇岩の窓岩がある。周辺の岩場でカキ礁の化石を観察でき、また同じ地層からはアンモナイトやモササウルスなどの化石も発見されている。

洋野町の海岸の岩場にはいたるところに溝が掘られている。これはウニを増殖するためのもので、本州一のウニ水揚げ量を誇るこの地ならではのもの。

この地は「南部もぐり」の発祥地で、明治31年(1898)、種市沖で座礁した貨物船の解体引上げ工事のため千葉県の潜水夫がこの地に暫く滞在した。このとき、この地の住民に、ヘルメット式の潜水技術を伝授したことが「南部もぐり」の始まりと言われている。

この「南部もぐり」は、湾港工事や海中調査などに活躍し、種市高等学校の海洋開発科で、その潜水技術が今も伝えられている。

2011年の東日本大震災の時、この地を10mを超える津波が襲った。津波はこの地の海浜公園の設備や、漁業設備を飲み込み大きな被害をもたらしたが、人家を守る高さ12mの防潮堤は破壊されず、沿岸住民の避難対応が早かったこともあり、三陸沿岸の市町村では、唯一、人的被害がゼロだった。