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福島県棚倉町大清水

2012/09/03取材

 

  • 大清水池

 

この地は、現在棚倉町大字花園にある宇迦神社の発祥の地である。宇迦神社は、人皇十二代成務天皇の御代の白河国造の塩伊乃己自直命(しおいのこじあたいのみこと)を祀ったと伝えられる。

神亀年間(724~29)、飯野村に信仰深い若者が住んでいた。若者はある時、西国を巡礼しようと思い、畿内に旅立った。若者は各地を巡り摂津難波で宿をとった。若者は旅の疲れでぐっすりと眠ったが、深い眠りの中で不思議な夢を見た。

白髭の老人が枕元に立ち、「我は宇賀明神の白蛇だ。我がゆかりの地が東方にあるので、お前の背負ってきた皮籠に納め、我をそこまで連れてまいれ。道中決して皮籠のふたを開けるべからず」

信心深い若者は驚き、夢のお告げに従い帰国の途についた。お告げの通り皮籠を決して開けず、苦労の末に飯野村にたどりついた。

その晩、農夫はまた夢を見た。ゆめにあの白髭の老人が現れ、「ここが我がゆかりの土地だ。我をこの近くの山際に祀れ。我はここで万民を守り、お前の子孫も永く守るであろう」

若者はお告げに従い近くの山際の沼のほとりにでかけ、そっと皮籠のふたを開けると、五寸ばかりの白蛇が出てきて、この地の祠に入り込んだ。その祠こそが塩伊乃己自直命を祀った祠だった。

すると不思議なことに、飯沼の底から清水がどんどん湧き出し、またたく間に大きい池になり、大清水池ができた。

その後、この地を大きな日照りが襲ったが、この池だけは水が湧き続け、里人らは大変喜び、神殿を建ててこの里の守護神として宇賀明神を祀った。