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福島県須賀川市前田川

  • 乙字ヶ滝舟運路
 

白河藩では、廻米を阿武隈川を舟で下り、仙台まで送り、そこで大きな船に載せ換えて、海路江戸まで送っていた。しかし、阿武隈川をさえぎる様に流れ下る乙字ヶ滝は最大の難所だった。はじめは長さ30間の続枠を両側につくり、幅8尺の樋状の水路を作り通船していたが、洪水により度々こわされた。このため、乙字ヶ滝の上下でそれぞれ舟運を行い、ここでいったん荷を岸に揚げて、滝をはさんで別の舟に積み替える継船の方式をとらざるをえなかった。

このため、安政5年(1858)から、水路を開削する工事が行われた。長さ92m、幅4.5m、出口の深さ2.4mの水路を作る工事は難工事で、実に24年の歳月を費やし、明治15年(1882)に完成した。しかしその後、輸送の主体は舟運から鉄道に変わり、現在はその名残だけを残している。