2010/03/16取材

福島県喜多方市上三宮町上三宮籬山…願成寺

 

会津大仏は、願成寺境内の、会津大仏御堂に安置されている。木造阿弥陀如来座像で、鎌倉時代の作で寄木造り、像高は2.41mあり、来迎印を示し、千仏舟形光背を負う。この舟形光背は、よく見ると欠けた部分があるが、これは戦のお守りとして武士などによって持ち出され、返せなくなってしまい欠けたものと伝えられている。

左脇侍は観音菩薩、右脇侍は勢至菩薩があり、大和座りで、この形式は、京都三千院の阿弥陀三尊像と同じであり、東北地方では珍しいと云う。

願成寺は、嘉禄3年(1227年)、浄土宗の開祖法然の高弟である隆寛律師が開基したと伝えられる。慶長16年(1611年)、慶長三陸地震による震災で現在の場所に移った。この際、会津松平家がこの会津地域で唯一庇護した寺であったと伝えられる。

この地には、平家落人たちが逃げ延びたとの伝説があり、願成寺には、壇ノ浦で海に沈んだ安徳天皇や平家の人々を供養し弔うための絵などが残されている。また、開基した隆寛律師が使用したと伝わる琵琶も残されており、『御十夜会』では、平家物語の実演でいまでも演奏に使用されている。