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2015/08/28取材

 

小玉醸造は、清酒「大平山」、味噌「ヤマキウ」で広く知られている醸造会社。明治12年(1879)に味噌・醤油の醸造業として創業、大正2年(1913)からは清酒の醸造も開始した。蔵は煉瓦造りで、明治後期に建てられたと思われる。正面の妻面には半円形の窓があり、柱型を外壁に張り出し、壁面と柱、腰壁の煉瓦の色を変えている。屋根と外壁との取り合いも三重に破風を重ね、重厚性を出している。

創業者は小玉久米之助で、久米之助は行商からスタートした苦労人だったが、先見性と経営センスに長けた人物だったという。後年は「地域の発展なくして会社の発展はない」と考え、家業のかたわら駅や金融機関の誘致、耕地整理を手がけ、町の振興に力を尽くしたという。

明治40年(1907)には事業形態を会社組織に改組。翌41年には秋田支店を設置するなど、秋田を代表する醤油・味噌醸造元として不動の地位を確立するに至った。大正2年(1913)からは酒造業にも着手、地域で最も親しまれている名峰に由来する「太平山」ブランドの酒を世に送り出した。発売と共に各界の著名人をはじめ多くのファンに愛され、昭和9年(1934)には、全国酒類品評会において出品総数約5000点中第1位を獲得するなど、秋田を代表する銘酒として全国にその名が知られるようになった。