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秋田県秋田市大町一丁目

2017/07/27取材

 

旧金子家住宅は、江戸時代後期の商家建物で、平成8年(1996)に秋田市へ寄贈され、翌年、貴重な伝統的な建物として、秋田市の有形文化財として指定された。

建物は、主屋一棟と土蔵一棟からなっている。土蔵の内部は作品展示や演奏会などに使用され、明治33年に増築された和室は、趣味の教室や少人数の集まりに利用されている。

金子家は、かつては秋田藩の御用を務めたり、特定の人や寺を相手に旅籠のようなものを営んでいた。安政元年(1854)に質屋・古着屋を開いたといわれ、明治4年には呉服・太物(ふともの)卸商「金子商店」を創業して、昭和50年(1875)まで、この店で商いが続けられていた。

この旧金子家住宅が建つ秋田市大町地区は、江戸時代に商業中心地として計画された地域で、絹、木綿、麻糸などの専売が許され、中でも大町三町は、大町物(おおまちもの)とよばれた太物、呉服などを扱っていた。

創業当時の建物のうち、主屋は明治19年(1886)の大火で焼失し、よく20年(1887)頃に再建されたもの。また土蔵は、幕末に建てられたもので、大火を逃れている。

戦前、秋田市内では、火事に備えて主屋の屋根に玉水甕を置く商家もあり、この旧金子家住宅にも天水甕が設けられている。