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宮城県塩竃浦戸寒風沢…日和山展望台

震災前取材

寒風沢の日和山に、しばり地蔵と呼ばれる石像がある。しかし実際は地蔵ではなく、盧遮那仏の像であるらしい。

そのむかし、寒風沢の港が繁栄していた時代、島内には遊郭があったという。この遊女達が、好きな男の乗る船の出港をとめるため、この像に祈願して荒縄を巻いたので、しばり地蔵と呼ばれるようになった。

伝説によると、寒風沢港が繁盛していたころ、「さめ」という、きりょうのよい女がいた。彼女は、愛する若者が遠く船出するのを悲しみ、船を一日でも引きとめたい一念から日和山に登り、この地蔵を荒縄でしばり

「船を引きとめてください。引きとめたら解いてあげます。」

と、願をかけたという。するとその夜から翌日にかけて暴風雨となり、船は出られなくなってしまった。それ以来、この仏は娘たちによって、ときどきしばられることになったという。