福島県古殿町

2015/04/16取材

  • 鎌倉岳
 

鎌倉岳は標高669mあり、古殿町の松川地区に高くそびえる山である。

昔、この地に鎌倉から嫁いできたお姫様がいた。嫁いでしばらくすると、故郷の鎌倉が思い出され、鎌倉恋しさに、家人に鎌倉はどちらの方にあるか尋ねた。鎌倉の方角にはこの山があり、それを知った姫は、その山を眺めながらため息をつき、心はますます沈んでいくばかりだった。

見かねた里人たちは、姫の慰めになればと思い、「あの山に登れば鎌倉が見えるかも知れません」と言って姫を誘い、一緒に山に登った。

頂に立ち、晴れ渡ったはるか鎌倉の方角を眺めながら、里人たちの優しさに心打たれた姫は、その後元気を取り戻したという。

この鎌倉岳には、姫が鎌倉から持参した念持仏の十一面観音が納められていると伝えられる。