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福島県小野町小野新町字丹後坂…普賢寺

震災前取材

 

普賢寺境内には、高さ約2mの金属製の大きな地蔵尊が祀られており、これが火伏せ地蔵で、金仏地蔵とも呼ばれている。かつては仲町の地蔵通りというところに立っていたが、理由はわからないが、仲町の堀に埋まっていたのを掘り出してこの地に祀ったと云う。

ある年、夜中に仲町から火が出た。夜もふけていたため、通りを通るものもなく、しばらくの間誰も気付かなかった。ところが「火事だ火事だ」と大声で走り回る者がいた。その声で幾人かの町の人が飛び起きで慌てて火を消しとめ、大事にならずに済んだ。

次の日、大事にならなかったのはあの声の主のおかげだと云うことになり、手分けして探したがまったくわからない。そのうちある者が、地蔵通りに鎮座している地蔵さまの足がひどく汚れているのに気が付いた。町の者達は、あの声はこの地蔵さまだったのかということになり、それ以来、この地蔵を「火伏せ地蔵」というようになったのだと云う。