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宮城県仙台市青葉区北山

  輪王寺は、嘉吉元年(1441年)、伊達家九代政宗の夫人の所願により、十一代持宗が、福島県梁川に建立した。政宗夫人は、三代将軍足利義満の叔母に当たるため、六代将軍義教は、後花園天皇に奏請し、「金剛宝山輪王禅寺」の額を賜った。 輪王寺の草創期は、伊達氏の躍進の時期と重なり、伊達氏の居城は、梁川・西山・米沢・会津・岩出山・仙台と変わったが、輪王寺もこれに従って転々とし、十七代政宗の慶長7年(1602)、現在の仙台の地に移り、御一門格寺院として大伽藍を形成した。 元禄4年(1691)仙台藩四代藩主伊達綱村により仏殿、客殿などが整備され、山門はこのときに建立されたものと見られる。 明治維新以後、伊達氏の外護を失った輪王寺は、明治9年(1876)野火に類焼し、仁王門のみを残して伽藍の全てが灰燼に帰した。以来復興の策なく山内は荒廃にまかされていた。 明治36年(1903)、無外和尚が輪王寺の復興をはじめ、大正4年(1915)、現在の本堂と庫裡を完成し、また庭園の建設にも意を注ぎ、その晩年には、ほぼ現在の規模を備えた庭園が出来上がり、今日の輪王寺の基礎が整えられた。   ・仁王門 明治9年(1876)の北山大火ではこの山門だけが焼け残った。三間一戸の八脚門で、切妻造本瓦葺である。12本の柱はいずれも円柱で、棟の左右に鯱が載り、前面左右に仁王が配されている。江戸時代中期の堅実な手法を伝えている門である。