岩手県北上市立花
2014/05/10取材
この地の近くには、かつて北上川舟運の黒沢尻河岸があり、藩米の積み出し港として栄えていた。
この地には岩があり、その岩上には美しい姿の松が生えており、その姿から「おいらん松」と呼ばれていた。
石巻から北上川を遡ってきた平田船の白帆が、このおいらん松の下に現れると、男衆は荷下ろしの準備をはじめ、女たちは酒樽の鏡を抜いてその到着を待ったという。
明治に入ってからは、鉄道が敷設されたことで、次第に北上川の舟運は廃れ、おいらん松も、用水の取入口工事のために、生えていた岩もろとも消え去り、その姿を見ることは出来なくなった。
この松は、近年、往時を偲ばせるものとして、元の場所に近接するこの地に植えられたものである。