岩手県花巻市矢沢第3地割

2012/09/08取材

 

この「胎内くぐり」は、胡四王山の北西山麓にある。この巨岩の割れ目をくぐり抜ければ、身体安全と伝えられている。

この胡四王山は、坂上田村麻呂が東征の折にこの地に宿営した際に、この「胎内くぐり」の話を聞き、将軍自らがくぐり、身の安全と武運長久を祈願したと伝えられる。

「胎内くぐり」は、各地に様々にあるが、総じて、各地の山岳や霊地の行場で、狭い洞窟や割れ目を通り抜ける場所にある。

修験者や行者、またそれに率いられた信者たちが、山岳や霊地を他界または胎内とみて、その中を巡歴して修行し、いったん死んで生まれ変わる擬死再生の行を行ったもの。

これにより、一切の罪穢を捨てて肉体と魂を浄化し、新たに生まれ変わると考え、行に取り入れられたもの。

この考えの背景には、洞窟が一方では他界への入口とみなされ、他方では霊魂のこもる活力を復活する場として、神聖視されたことが関連しているとされる。