岩手県花巻市石鳥谷町小森林

2012/05/16取材

 

この地は、今から千に百年ほど前に、弘法大師が諸国巡業の折に、この地に立ち寄り喉を潤そうと休憩した地と伝えられる。その際に、大師が地面に挿した杖が根付いたのが、この「逆さヒバ」と伝えられている。

この「逆さヒバ」は、植物名はクロベやクロビ、またはネズコなどといわれている。これは心材が黒いヒノキ科の一種で、根元の直系は約2m、幹周りは約4.8mあり、県内の植栽されたクロベの中では、最も古い大木である。

この逆さヒバは、幹が太くなっても根元の方が細く、杖の様子を連想させることからこの名が付けられ、それが弘法大師の伝説となっていったものと考えられる。

この地は古くは奥州街道が通り、現在も国道4号線が通っている。古くから街道を往来する多くの旅人に親しまれ、逆さヒバの下に湧いている清水で、のどの渇きを潤したと言われている。

この逆さヒバのすぐ脇に子守観音の祠があり、その御神木としても大切にされている。