岩手県花巻市

2014/05/10取材

 

 

元正天皇の頃(715~24)、勅願により全国に延命地蔵尊が置かれたとき、勅命を奉じて大和中納言守久がこの地に下着し、延命寺を創建した。

 

天平元年(729)、この地の長者の下女ヤスと、二人の下男が大地にさした杖が根付き、巨大杉となった。この下女ヤスは、女人の難産を救うためにこの地に来た子安地蔵尊であり、二人の下男は、子授けの神の金勢大明神だったと云う。

金勢大明神の杖は、参道に二本並び立ち、子安地蔵尊ヤスの杖は、堂の前に一際大きく聳え立った。しかもこの杉は、途中から枝が分かれ、あたかも子供を抱く姿に見えたことから、子持ち杉と呼ばれるようになった。

往時は、南部藩内はもとより、みちのく各地から参詣者が訪れ、安産の祈祷や岩田帯を戴く者も多かった。また参道の大杉の東の方を拝めば男の子を、西を拝めば女の子を授かると言われていた。

昭和54年()、参道の杉の一本が老朽化のため大風で倒れたことから、安全のため他の杉も伐採された。現在は切株に堂宇を建てて信仰を伝えている。

堂内には、地蔵菩薩と毘沙門天の分身とされる千体仏が安置されている。