震災前取材

岩手県大船渡市猪川町字千刈

 

昔、この地方に は、赤頭という鬼の部族が棲んでいた。赤頭は名にしおう悪鬼の部族で、坂上田村麻呂将軍の軍勢にも屈せず、頑強に抵抗していた。しかし、半年あまりの戦いの末に、ついに敗れて、一族はちりぢりになり四方へ逃げていった。

この赤頭のかしらは高丸という鬼であったが、田村麻呂に追われ、この地の二丈もある大きな岩の上に追い詰められた。前は深い淵で、さすがの高丸も捕らえられそうになった。

高丸はこのとき、最後の力を振り絞って、あっというまに岩の上から淵を飛び越え、向こう岸にはりついた。そして阿修羅のように逃げ去ってしまった。

以降、このことから、この地を「鬼越」と呼ぶようになったと云う。

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