岩手県大船渡市盛町字権現堂

震災前取材

 

この槻木の位置は盛街道の起点であり、右側は橋を渡って三陸沿岸を北へ進む浜街道、左は内陸部へ進む盛街道と分かれていた。

盛街道は、この大船渡市盛を起点に、世田米(せたまい)、人首(ひとかべ)、岩谷堂、水沢までの街道で、古くから三陸沿岸地方と内陸部の交易に大きな役割を果たしていた。交易は仙台領のみではなく、この盛からさらに浜街道沿いに盛岡領とも行われた。

槻木の根元には庚申塔や馬頭観世音の碑が建っており、この地を往来した人々の祈りや願いが込められているものだろう。