「こんごう」を中心とする第五護衛隊は、巡視船を護衛する形で尖閣諸島周辺海域に入った。すでに北岸には灯台が設置され、仮設住居も設置され、重機が陸揚げされ、山を崩しヘリポートが造成されているようだった。周辺海域には中国海警局の公船が10隻ほど巡回し、日本の巡視船に対し、退去するように警告を繰り返していた。
巡視船を護衛し接続水域を航行する護衛艦に対して、中国漁船は護衛艦が簡単には武器使用ができないことを見越してか、こともなげに進路をふさぎ妨害し、挑発行為を行っていた。彼らにとって日本の憲法9条は、日本の武力行使をしばる都合の良いツールでしかなかった。
数日間、このような小競り合いが続いた後に、「おおすみ」から海上保安官と特殊警察部隊、それを護衛する「バラモン部隊」が、エアクッション上陸舟艇で、魚釣島に強行上陸、装甲車両に分乗し、催涙弾とゴム弾で制圧しながら「中国漁民」の検挙を始めた。「中国漁民」はこれに対して自動小銃とロケットランチャーで対抗してきた。武器の取り扱いも手慣れたもので、明らかに訓練を受けたもので、「民兵」か、もしくは漁民に扮した人民軍兵士であることは明らかだった。日本の警察官に3名ほどの負傷者が出たが、3日間で、山中に逃げ込んだ一部の「漁民」を除き征圧に成功した。
この間、海上では激烈な「戦闘」が行われた。日本の上陸舟艇が「おおすみ」から魚釣島に向かうと、それまで盛んに警告と放水を繰り返していた中国の海警船は、日本の巡視船に対して、機関砲による砲撃を始め、付近の漁船群は一斉に領海内に入り上陸の動きを始めた。日本の巡視船は、重武装の海警船に対抗できる武装は持たず、漁船群の駆逐にまわり、周辺で待機していた自衛隊の護衛艦からは、対艦ミサイルを装備したヘリコプターが飛び立ち、護衛艦も現場海域に急行した。
3機の自衛隊ヘリは、砲撃を行っている1万トンクラスの「海警2901」に対し、一斉に対艦ミサイルを放った。ミサイルからは信管は外されており、爆発はしなかったが、海警船の艦橋下部には大穴があいた。護衛艦からは、領海から速やかに退去しなければ、信管をつけたミサイルで攻撃することを通告し、中国のすべての海警船をロックオンした。これにより中国の海警船と漁船群は、引き始め、立ち去った。
中国はただちに、「日本軍は、中国の固有の領土である釣魚島(魚釣島)の民間人に対して銃口を向け拘束し、中国の海警船に対し、対艦ミサイルで攻撃した、」として激しい非難声明を出した。日本はこれに対して、「戦闘」の一部始終を記録した映像を公開した。また捕獲した「中国漁民」の武装や、拿捕した漁船、輸送船を広く公開した。魚釣島には、自動小銃はもちろん、手りゅう弾、ロケットランチャーなどが大量に持ち込まれており、「漁船」にはレーダー、通信機器、衛星測位システムが搭載され、機雷も搭載されていたことや、輸送船からは民兵の制服や階級章も見つかったことを公表した。そしてこの事件は偶発的な「中国漁民」の領海侵犯ではなく、組織的、計画的な「海上民兵」による侵攻と断じ、以降の尖閣海域での中国の行動は、「中国漁民」や海警局の公船も含め、武力侵攻と判断し、自衛隊が事に当たることを宣言した。
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