岩手県花巻市大迫

2014/05/09取材

 

大償神社は、早池峰神社のある岳より12㎞ほど下流にあり、岳神楽とともに、大償神楽を、早池峰神楽として今も伝えている。

早池峰の山岳信仰は、大同2年(807)、田中兵部らが早池峰山頂に姫大神を祀ったことに始まり、田中兵部はこの地域に里宮の田中明神を建立し、その後その神主によって、大償の別当に伝えられたといわれている。別当家には、長享2年(1488)の伝授書があり、このころには成立していたと考えられる。

岳と大償は「表裏一体」の兄弟神楽といわれ、大償の山神面は口を開けた「ア」であるのに対して、岳の面が口を閉じた「ウン」の型をしている。演目も「式舞」「式外の舞」「狂言」などほぼ同じであるが、岳神楽は荒々しく勇壮な男舞で、大償神楽は優雅な女舞とも言われている。