2007/04/24取材 秋田県小坂町

 

歴史散策⇒小坂鉱山事務所康楽館

白根金山で少し時間を取ってしまったため、次の青森大鰐の石川城の撮影は時間的に無理になった。まだ日が残っているうちに、予定外だが小坂町界隈を探ることにした。小坂町には、鉱山がはなやかなりし頃の劇場があったはずだ。かなり以前に小坂町を通ったとき、その崩れそうな明治、大正時代の面影を色濃く残す古い劇場を見て、感激した覚えがある。

小坂の町に入ると、鉱山町独特の茶褐色のイメージが薄らいでいた。町全体が公園風に小ぎれいに整備されている。すぐにわかった、これは鉱山が衰退し、変わって観光に重きを成し始めたということだろう。

劇場の「康楽館」には迷わず行くことが出来た。修復され、現役の劇場として稼動している。劇場の脇には幟が立ち、何回目かの公演が終わったばかりらしく、役者の方々が、出入り口に並び挨拶をしているところだった。これは嬉しかった。劇場は修復され、昔ながらの芝居が公演されているようだ。

驚いたことに、以前は全然気づかなかった、往時の建物が復元されている。一つは昭和初めのキリスト教の幼稚園、そしてもう一つは、明治に立てられた「小坂鉱山事務所」。

幼稚園は、かつての小坂の文化水準の高さをあらわしており、ルネサンス宮殿の外観をもった「小坂鉱山事務所」は、時代の最先端の、往時の鉱山経営者の、技術者達のそして多くの鉱夫たちの、時代を超えた誇りと息遣いが聞こえてくるようだった。

思いがけない収穫があった小坂町を後にして、暗くなる前に峠を越えるべく大鰐に向った。