2010/09/09取材 秋田県男鹿市
前日は、八望台からの夕日を堪能し、日本海にかかる天の川を眺めながら、駐車場での車中泊となった。暗闇の中を、断崖を縫ってアップダウンする道を戻る気にはなれなかったことと、この男鹿半島の先端部からの帰り道には、訪れたい箇所が多くあり、特に、この八望台の日の出前の姿も観たかった。
しかし、一つ問題があった。宿泊の予約など入れてはおらず、食事が出来るような場所もなかった。コンビニなどあるわけもなく、食べるものを何も用意していなかった。車の中をごそごそ探すと、サンマの缶詰と、ぬるくなったコーラがあったので、それを夕食代わりにし、それでも大満足で、涼しい秋風の中で眠った。
日の出前に目を覚まし、東の空を見ると、この地からは日の出は丁度寒風山の方角になるようで、あまり良いロケーションとは言えず、また空は曇っていた。日の出を楽しむことはできなかったが、それでも明るさが増した八望台周辺から、二の目潟、一の目潟を撮影し、入道崎に向かった。
前日、八望台に向かって車を走らせている途中に思ったことだが、日本海に面する男鹿が、その輝くような絶景を見せるのは、午後から夕方にかけてではないかと考えていた。早朝の曇り空の入道崎は、沈んだたたずまいだった。男鹿は、昨日のような輝く姿を見せてくれないかもしれないと思いながら、入道崎から次の地点へ向かった。
真山神社や五社堂など、懸案だった箇所を取材しながら、昨日の道を逆にたどった。しかしこの日は、いたるところで車を停めてシャッターを切った。日が高くなるにつれ、男鹿は微笑み始めていたが、それにつれ空腹感は増していた。
寒風山の山麓の「鬼の隠れ家」の入口を見つけたときは、すでに午後1時をまわっており、空腹感はかなりな状態になっていた。「鬼の隠れ家」まで、腹ペコの状態で、山道をどれだけ歩かなければならないかは定かではない。しかしスルーする気にはなれなかった。ペットボトルの水を飲み空腹を満たし、寒風山の火口底の「鬼の隠れ家」、そしてそこからの寒風山を撮影した。空腹感よりも、その絶景を独り占めしている満足感の方がはるかに強かった。
その後、「寒風山」や「脇本城址」をまわり、食事にありつけたのは、その日の午後4時ころだった。