2007/04/24取材 秋田県鹿角市

 

歴史散策⇒花輪城跡

昼頃、鹿角花輪の町に入った。うれしいことに、この町には今のところ私の嫌いなバイパスがない。国道282号線はそのまま町の中心部を通る。そのため、フランチャイズの牛丼店とかハンバーガー店とか、米軍キャンプのような郊外型マーケットもなく、地元の商店街がそのまま機能しているようだ。簡単に食事を済ませ、すぐに花輪城跡を探し街中を走った。

なんのことはない、商店街の東に迫る尾根全体が城跡だった。予想していたよりはるかに大きいようだ。山を北から回りこみ、東側から城山下の駐車場に車を停めた。

城跡は、公園として整備され、そのためか地形は大分手を加えられている。駐車場のスペースも大きく切土され、法面処理が施されている。城山に上る途中も地形はまるで城跡らしくない。切堀の跡と思われる公園内の道路も整形され法面処理がされている。主郭跡と思われる平場に出たが、確かに公園で、一向に城跡らしくはない。公園を通り抜け西側入り口に行ってみると、「北館(旧花輪城の北郭)」と標柱があった。公園の下を回り込むように南に行くと「南館」の標柱があった。

間違いなくこの地に花輪城はあったのだろうが、それらしい様子は伺えない。一応写真を撮り、諦めかけて駐車場に戻りながら、念のため公園の東側に回った。するとあったよ、ありましたよ。かつての的場跡と、それを囲むような小郭、物見台と思われる平場、尾根を断ち切る切堀、明らかに中世の堅固な山城の一端を見せている。南部、津軽、秋田安東各氏による争奪の地の名残が、公園の東側にかろうじて残っており取りあえずは安堵した。

地域の住民にとって、公園はなくてはならないものだろう。しかし、かつての土塁や空堀や平場をそのまま残し、かつての登城路を遊歩道として整備し、下草を刈り取りさえすれば、そこは下手に整備した公園よりもはるかに子供たちの遊び場に、また住民のトレッキングの場になると思う。史跡を公園整備する際には、地形の変造は最小限にしてもらいたい、そんなことを少し考えてしまった。