福島県本宮市和田東屋口

2012/11/01取材

 

岩角山は、仁寿元年(851)、慈覚大師によって開かれた。このとき大師は、この岩窟を草庵として風雪を避けて、毘沙門天王の像を彫刻したとされる。

大師は、承和14年(847)、唐から帰航の際に、海があれ難破しそうになった。このとき船首に毘沙門天が現れ、無事帰国することができた。大師はこのことに功徳を感じ、尊天像を彫刻し霊場に安置しようと諸国を行脚した。

大師がこの岩角山のふもとに来たところ、幾千の快光南天が飛来しこの山に止まり、紫雲が霞のようにたなびき、虚空に忽然と尊天が現れた。

大師はここが霊場だと悟り、21日間の水行を行い、一丈の開運毘沙門天を刻した。

この岩窟の中に、1本の石の角が突き出ていて、この山の名前はそれに由来すると伝えられる。この岩角は、長さ約75cm、太さ約15cmで、現在は岩角寺の寺宝として保存されている。