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福島県須賀川市池上町
2015/03/25取材
十念寺の境内には、白い犬の石像がある。
この地で代々庄屋を務める宮先町の市原家に、シロと呼ばれている白毛の秋田犬が飼われていた。シロは、人間の言葉がなんでもわかる利発な犬で、買い物など家の手伝いもよくして、町中でも評判の犬だった。
市原家では、当主は毎年、伊勢の皇大神宮神楽祭りに参拝していたが、ある年、当主が病気になってしまい、伊勢参りに行くことができなくなった。さて、どうしたものかと皆で相談し、利発なシロに代参させようということになった。
家人は、シロに道中の路銀と、道順を記した帳面、「人の言葉が分かるので道順を教えてあげてください。シロを助けてあげてください」というメッセージを頭陀袋に入れ、伊勢に向けて出立させた。
シロは須賀川から奥州街道を通って江戸に入り、東海道から四日市経由で伊勢に向かった。市原家の人々は、朝晩神棚に灯明をあげ、無事を祈っていたところ、二ヶ月後の夕方、シロは2ヶ月後の夕方、無事に須賀川に帰って来た。
頭から下げた頭陀袋の中には、皇太神宮のお札と、奉納金の受領や食べ物の代金を差し引いた帳面も入っており、旅の途中にも多くの人々に世話になったことが伺えた。それもこれも、お伊勢様のおかげと家人らは感激し、帰ってきたシロをいたわった。
その後シロは、「主人に代わってお伊勢参りをした忠犬」と町中の評判になり、皆から可愛がられていたが、その3年後に没した。没後、シロは市原家の菩提寺である十念寺に葬られ、シロを模した石像付きの立派な犬塚が建てられ、今も丁寧に弔われている。
関連動画:
(みちのく・犬塚)現在住んでいる市内にある伊勢灯篭の紹介を公民館講座でしておりますが、シロの代参の話がほのぼのとしていて、ここの「シロの犬塚」写真を1枚選んで印刷して紹介してもよろしいでしょうか?
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