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山形県鮭川村大字曲川

2012/07/06取材

 

別名:トトロの木、小杉の大杉

この大杉は、推定樹齢1千年といわれ、根周り6.3m、樹高約20m、枝張17mあり、根元から三叉状に幹が分岐し、上部は枝が叢生する。日本海側の「ウラスギ」に属し、最上峡谷に群生する天然杉と同種のもので、神代杉とも呼ばれている。傍らに山神の祠があり、この巨木は神木として信仰の対象になっていたようで、夫婦杉、縁結びの木、子宝の木とも言われている。

映画「となりのトトロ」のトトロに形が似ていることで有名になり、年齢層問わず多くの観光客が訪れる。

この大杉には、新庄藩初代藩主が体験したとされる次のような話が伝えられている。

昔、新庄藩の殿様が、正月にこの地で鷹狩を行ったところ、にわかに大吹雪となり、先達の案内で杉の大木の下で風雪を凌いでいた。そのときの人数は15人ほどだったが、枝張りが良いため、少しも風があたらなかった。しばらくすると大吹雪もやみ、一行はその木の下からでて10間ほど歩き、振り返って大木を見ると、葉が茂り幹も見えないほどの大木だった。

殿様は大変不思議がり、「これはどうした大木だ」と先達の村人にたずねた。村人は「この杉はお目にかけることはもちろん、話にも出してはならない木なのです。ただ、今は大吹雪で凍死寸前だったので、やむなくこの木の下にご案内しました。この木は曲川の大杉と言って、昔は2本あったのですが、1本は最上義光公がこの大杉の噂をお聞きになり、大勢の人夫をだして切り倒してしまいました。それからというもの、この村には悪いことばかり起こるようになり、現在でも貧乏なのです。この木がお目にとまり、ご用材になどなってしまえば、この村は一層貧乏になってしまいます、なにとぞこの木のことはお忘れください」と答えた。

吹雪もおさまり、お殿様はそのまま帰途についたが、帰り際に振り返ってみると、不思議なことにこの大杉は、普通の杉と変わらない姿に見えたという。