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青森県弘前市大字元長町

2013/08/20取材


この建物は、青森銀行の母体となった旧第五十九銀行本店として、明治37年(1904)に建築されたもの。昭和18年(1943)に、県内5銀行の合併により青森銀行となってからは弘前支店として使用された。昭和40年(1965)、同支店建替えにより取り壊されることとなっていたが、地元市民の保存要望により、元の位置から90度回転し50m曳屋したうえで、昭和42年(1967)からは青森銀行記念館として保存公開され、創業時の資料や旧紙幣・旧貨幣等が展示されている。昭和47年(1972)、国の重要文化財に指定された。

木造2階建てで、ルネサンス風の意匠を基本としているものの、外壁は瓦を張りその上は漆喰で塗りつぶされ、窓も漆喰塗の外窓が設けられるなど防火対策として和風技法が取り入れられており、屋根構造は和小屋組とトラスの折衷構造となっている。また、1階の営業室と客溜りに仕切り壁がなく、また二階の大会議室は柱芯々で14.5m四方の空間に柱等の遮蔽物がないなど、積雪地という厳しい設計条件にもかかわらず大空間が設計されている。また、青森県産材であるヒバ・ケヤキがふんだんに用いられ、屋根にはバラストレイトを廻し落雪防止としての実用面を考えられた意匠が施されるなど、地域の特色が見られる。