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青森県つがる市稲垣町豊川字千代島

2013/06/09取材

 

推定樹齢約1000年のヤチダモの古木である。

幹のこぶは、女性の乳房に似ていることから、いつの頃からか子孫繁栄のシンボルである乳の神として信仰を集めてきた。妊婦は、この木に米の入った袋を吊るし、この米を頂いて帰りおかゆにして食べるとお産が軽く済むと云う。お礼参りの際には米袋を持って再び木に吊るしておき、別の妊婦が訪れた際にその米を同じように頂くという風習が今も残っている。

かつてこの地域一帯は大きな湿地帯だったが、江戸時代に入り元和年間(1615~24)の頃から開拓が始まり、藩政時代を通じて、木造町などとともに新田開発が行われた。津軽藩二代目藩主信枚は、この地の開発に当たり、この荒野の中に巍然として聳えていた「一本タモ」を格好の目印とした。また道路が整備されていなかった時代には、村人たちの目印ともなり、地域の人々の信仰を集めてきた。