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青森県五所川原市十三

2012/05/14取材

 

十三湖は、周囲30km、水深は最大3.0mの汽水湖である。特産物はシジミで、宍道湖、小川原湖と並ぶ日本有数のシジミ産地である。中世には日本海沿岸の交易港「十三湊」の在った場所であり、安東氏の拠点として栄えたと伝えられ、近年発掘調査が行われ実態が明らかになってきている。

斉明天皇4年(658)頃、安倍比羅夫は越国から日本海を北上、蝦夷を制しつつ、顎田(秋田)、渟代(能代)を経て津軽にいたり、さらに蝦夷地まで遠征した。このとき、比羅夫は「有間浜」に蝦夷を招き、連日にわたり宴を催したと云い、その「有間浜」はこの十三湖の地だったとも云われている。

また、この十三湖は、「沈鐘湖」とも呼ばれ、次のような伝説も伝えられる。

昔、雌雄一対の鐘が、長円寺に納めるために京都から津軽へ船で運ばれてきた。船が十三湊から岩木川を遡ろうとしたとき、にわかに暴風雨になり、船はあっという間に転覆し、鐘は二つとも十三湖に沈んでしまった。その後、雄鐘はようやく引き上げられ、なんとか長円寺に納めたが、もう一つの雌鐘は、どうしても引き上げることが出来なかった。その後、長円寺の鐘をつくと、その音は「十三恋しや」と響き、するとこの湖の湖底からもそれに呼応するように「長円寺恋しや」と鐘の音が響くと云う。今もよく晴れた日には、漁夫が水中の鐘を見かけることがあるという。しかし人の気配がすると、鐘の中からたちまち魚のようなものが現れ泥をかきたて見えなくなってしまうと云う。