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青森県三戸町字斗内

2012/11/05取材

昔、この沼には大蛇が棲みついていた。この大蛇は、雨降りの日には、沼の南側を通る街道の坂の大木に、蓑に化けてかかっていた。雨に難儀した通りがかりの旅人が、蓑を身に着けようとすると、大蛇はその旅人を捕らえては沼に引きずり込んで殺していた。

この噂を聞いた南部藩士の玉山兵庫が、旅人の災いを除こうと馬に乗ってやってきたが、沼の主の大蛇は見当たらず、沼には奇妙な大木が浮いているだけだった。兵庫はその大木こそが大蛇が化けたものと見当をつけて、刀を抜き放ちその大木を突き刺した。するとその大木は見る間に大蛇の姿を現しのた打ち回り、格闘のすえに兵庫はその大蛇をしとめた。

兵庫は、沼の主の代わりに、自分の乗ってきた馬の鞍を沼に沈め、旅人の安全を祈願したと云う。それからは、この沼は鞍沼と呼ばれるようになったと伝える。