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山形県鶴岡市上名川

2012/09/05取材

 

月山ダム管理所から村道を上って行くと「和尚峠」の石碑がある。

月山ダムが築造された川は「梵字川」といい、この川の上流から、梵字が流れてきたと伝えられる。昔、弘法大師か、この川を流れて来る梵字をたどり湯殿山に登る途中、梵字が流れ出て来る小沢を見つけた。大師がその沢を登ると、岸壁の前に大日如来が現れ、その指し示す方向に、湯殿山の御神体があった。

大師はこの沢を仏沢と名付け寺を開き、大日如来が現れた岸壁には、岩から湯がしみ出しており、そこが御神体として祀られた。後にこの寺は仏沢万宝院と称し、祈願所や修験場も建てられた。

寺も湯殿山とともに栄えてきたが、時がたち、明治初期の神仏分離令により次第に衰退し、定住する住職もいなくなり、京都の伏見三宝院から和尚が派遣されてきたが、その和尚もついに帰ることになった。当時はこの地は険しい峠で、見送りに来た村人たちと涙ながらに別れたという。後に、この地は、「和尚峠」と呼ばれるようになった。

現在は、月山ダム築造に伴い道路が整備され、寺も廃され、かつての険しい峠道はなくなり、「和尚峠」の名のみが残っているだけである。