スポンサーリンク

山形県小国町黒沢

2013/10/04取材

 

黒沢峠は越後米沢街道の十三峠の中の一つである。米沢からは青苧、煙草等が越後に運ばれ、越後からは塩、塩魚、乾物等が、牛馬や背負子で運ばれた。

現在の黒沢峠の道程は約2.6㎞で、その内1.8㎞に敷石が敷かれ、その石段の数は約3600段と言われている。この敷石は、十三峠の悪路改修工事の一環として、天保10年(1839)から慶応3年(1867)にかけて、3万6千人を超える人夫を動員して敷かれた。

この峠を、直江兼続、五郎八姫、大愚良寛、西郷隆盛、原敬などが通ったことが知られているが、明治11年(1878)にはイギリスの女性紀行家イザベラバードが通り、集落やそこに住む人々の様子を日本奥地紀行に詳述している。

明治17年(1884)に小国新道が開通すると、この峠を通る人はいなくなり、長い間土に埋もれていたが、昭和55年(1980)保存会が設立され、峠道が復元されてきた。現在も当時のままの石畳が残っており、その中央がくぼんだ敷石が往時の街道の姿を今に伝えている。