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山形県朝日町大沼

震災前取材

 

朝日町大沼 の浮島沼は、東西およそ360m、南北およそ540m、水深はおよそ3mである。沼形は狐の形をしており、湖上には大小60余りの島々が浮遊する。大きいものはおよそ3.6m、小さいものは0.3mほどで、旧日本国数にかたどり名が付けられ、中央の動かない島は葦原島という。

この地は白鳳9年(680)、山岳修験者の役小角により発見され、その弟子の覚道により開山されたと伝えられる。和銅元年(708)、覚道は大沼坊を建立し、もっぱら秘境の守護につとめ、その子孫が大沼山主大行院と云う。

春3月頃より初秋に至る間、特に朝夕、島々の浮遊が多く、浮遊する島の様子によって吉凶を占ったと伝えられる。

湖畔には白龍湖、芭蕉塚、波騰の松、夜嵐の森などの名所があり、それぞれに伝説を伝える。またこの地には、長徳元年(995)藤原中将実方が来て詠んだという歌が伝えられる。

四方の海 波静かなる しるしにや 心もうきて 遊ぶ島かな

よしやそも 名こそ深山の 奥なれや 花にはもれぬ 雲の上かな

学問上でも貴重なもので、大正14年(1925)に「名勝大沼の浮島」として名勝地として指定された。