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山形県三川町押切新田字五反

震災前取材

 

三川町に伝わる伝説として蛇ニオ伝説がある。三川町の押切新田の宇賀神社にその「蛇ニオ」はある。

約200年ほど前、赤川が大洪水になったとき、小さな藁ニオがこの地に流れ着いた。そのニオの中から双頭の蛇が現れ、蛇は宇賀神社の前立であることから、使神の蛇の棲家としてこの地に祀られた。

いつのころか、夜中になると餅をつく音が聞こえてくるので、近所の村人が不思議に思い、音のする方に行ってみると、その音は「蛇ニオ」の中から聞こえてくる。村人は不思議に思い、身を清めてからニオを崩してみると、その中から一頭の獅子頭が出てきた。この獅子頭が、現在の宇賀神社の獅子舞に継承されたと伝えられている。

また、付近の家に火災があったとき、四、五人の若者が現れ、火の中に飛び込み家財道具を持ち出し、そしていずこともなく消え去ったという。このとき、「蛇ニオ」はいかに火の粉が降りかかっても発火することはなく、この若者達は神の化身だったのだろうと言い伝えられた。

ある時、赤川に大洪水が起こり「蛇ニオ」は押し流されて、東南の150mくらい離れた地に止まった。ところがその近辺に不幸が相次いで起こるので巫女に伺いをたてたところ、「蛇ニオ」は、元の位置に戻りたいという神のお告げがあった。そうしているうちに、また大洪水が起こり、前とは流れが反対になり元の位置に復したという。

宇賀神社の神は、白蛇の姿になって現れると伝えられており、信仰する人の前には、白い蛇や頭に金のハチマキをした蛇が現れるという。現在も、安産の神、防火の神として、近在の信仰を集めている。

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