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宮城県大崎市古川川熊字長者原

震災前取材

この化女沼周辺は、かつては官衙がおかれ、人が多く住み、この地域の文化の中心地であったと推測できる。この地には下のような伝説が伝わる。

むかし、この沼のほとりに長者が住んでいた。この長者には、一人の美しい娘がいた。娘は、 朝な夕なにその美しい姿を沼辺に見せていた。すると、そのあまりの美しさに、沢山の蛇が水面に集まるようになった。

ある秋の夕暮れ、美しい若者がこの地を通りがかり、許しを乞うて長者の家に泊まるようになった。やがて娘とこの若者は恋仲になったが、若衆は旅立つことになった。娘はいたく別れを惜しみ、歎き悲しんだ。

若者が旅立ってからは、打ち沈む娘の姿に長者の家はひっそりとした毎日が続いた。ある日、物思いにふけりつつ草原で身を横たえていた娘は、体に異常を感じ、あわてて館に戻った。その夜、娘は産気づき、白い蛇の子を産んだ。その子はそのままするすると沼の中に消えていった。

それからというもの、沼の中から毎晩のように子供の泣き声が聞こえ、やがて姫はその泣き声に惹かれ、愛用の機織機とともに、沼に身を投じてしまった。

その後、毎年七月七日の日には、沼の中から機を織る音がすると伝えられる。