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宮城県大崎市三本木桑折字沼下

震災前取材

三本木の桑折の蛇沼周辺は、公園としてきれいに整備され、四季折々の木々の姿を水面に映し、地域の方々の散策に、あるいはレジャーにと利用されている。

この蛇沼には、次のような伝説が伝えられている。

昔、この沼のほとりに大蛇が棲んでいた。この大蛇はしばしば沼辺に現れ、岸辺の松の大木に巻きつき、その姿を鏡のような沼の水面に映すのだった。この物凄い大蛇の姿を見たものは、余りの恐ろしさに正気を失い、満足に帰った者は無いと言われた。

またこの地には、いつころからか大鷲が棲み付き、この大蛇を狙っていたが、沢や林の中を這う大蛇をおそうことはむずかしかった。そこで大蛇を沼の中へ追い込み、水上で飛びかかろうと狙っていた。

ある夏の日、大蛇はあまりの暑さに耐えかねて、沢から沼へズルリズルリと下りてきて水面に横たわった。これをいち早く見つけた大鷲は、すぐさま大蛇に襲い掛かり、その目にするどい爪を突き立てた。目をやられた大蛇は、苦しさに水上を暴れ狂ったが、すでに目を失った大蛇は、大鷲の攻撃をかわすことはできなかった。大鷲はさらに羽ばたきをして、左右より二度、三度と襲い掛かり、大蛇の巨体は見る見るうちに四ツ裂き八ツ裂きになり、沼一面に散った。

この戦いを目の当たりにした里人達は、静まり返った水面を眺め、恐ろしい中にも神秘を感じ、いつしかこの沼を蛇沼と呼ぶようになったと云う。