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宮城県蔵王町遠刈田温泉

遠刈田温泉から県道12号線エコーラインを山形方面に進むと滝見台がある。ここからは三階の滝と不動滝を望むことが出来る。

三階の滝は落差181m、幅7mで、ブナやカツラの林の中を、三段になって落ちている。 この三階の滝と不動滝には以下のような伝説が伝わる。

三階滝には昔大蟹が滝つぼの主として住んでいた。しかしこの滝つぼは小さく、大きな不動滝の滝つぼを狙っていた。しかし、この不動滝の滝つぼには、その主として大鰻が住みついていた。

大蟹はこの不動の滝を我が物とするために、大鰻を襲うことに決めた。 大鰻はこれを察し、美しい娘に化けて、新地の里のマタギの政治郎に助けを求めることにした。大鰻は、鬼石原の「お孝」と名乗り、「長わずらいの母が、お不動様への願かけがかないよくなったので、お礼参りの赤旗を不動滝に流してこようと思います。しかし不動滝には大蟹が住んでいるという噂で、恐ろしくて近づくことができません。どうかその大蟹を退治していただきたい」と、金銀、鉄砲玉を政治郎に渡して頼む。

政治郎は、この娘の力になることを約束した。約束した日に、政治郎は不動滝へと山道を急いだ。山鳥渡の上まで来ると、川の水が真っ赤に染まり、ゴーゴーと渦巻いていた。何事が起こっているのか、政治郎は急いで不動滝まで来て見ると、滝つぼの中で鏡のような両眼をランランと光らせた大蟹が、高々とはさみを天にかざして勝ち誇っていた。

政治郎は銃をかまえると、大蟹の眼を狙い鉄砲を撃った。煙が晴れると、滝つぼの水は赤く染まっていたが、大蟹の姿はもう見当たらなかった。その後、不動滝の滝つぼには、片目の大蟹が住んでいるとの噂が流れたが、誰もその姿を見たものはいない。

大鰻は、大蟹のはさみでずたずたに切られ、頭は青根温泉に、胴は峨々温泉に、尻尾は遠刈田温泉に飛ばされたという。そのため、青根は頭痛やノイローゼなどの頭の病に、峨々は胃腸病に、遠刈田は神経痛や婦人病などに効能があるという。