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宮城県石巻市広淵寺添

震災前取材

かつて、江合川は現在の広渕寺の辺りを流れており、深い淵をなしていたという。

かつてここには青龍が棲んでおり、それがこの地に疫病の流行をもたらしていた。村の人々は、それを防ぐために、辰の年辰の月辰の日辰の刻生まれの乙女を人身御供に捧げねばならなかった。

ある年、この年は疫病が流行し、人身御供を捧げることになり、白羽の矢をたてられた乙女がこの淵へ投げ込まれようとしていた。そこに一人の托鉢僧が通りがかり、自分が身代わりになるという。

僧はこう言うと、少女に代わって自分から白木の棺に入り、呪文をとなえ始めた。やがて刻限が迫り、一陣の生臭い風が吹きだしたかと思うと、突然淵の中から恐ろしい形相の青龍が現れ、僧を棺ごと淵に引きずりこもうとした。

その瞬間、棺から僧が鉄の如意棒をかざし飛び出し、龍の眉間を渾身の力で打ち据えた。さしもの龍も眉間を割られ、その場にどうっと倒れたのだった。

それから疫病の流行は無くなったといわれ、この僧はこの地に寺を開き、龍の霊を祀るために青龍山の号をつけたという。